【美輪明宏】『イースターパレード』のジュディ・ガーランドとフレッド・アステアについて語る
今日はわたくしの大好きなミュージカル映画の音をお届けいたします。映画のタイトルは『イースターパレード』でございます。
1948年のアメリカ映画で、終戦後間もなくの映画なんですね。全く素晴らしいんです。その素晴らしいの一番の功績は主演のジュディー・ガーランドっていう、本当にファニーフェイスで、美人でも何でもないんですよ。スタイルも良くないし小柄だし、そんなに向こうの人たちみたいに顔が小さくて8頭身ていうわけでもないんですよね。日本人の体形に近いような人なんですけどね。芝居はうまいし、歌と踊りは抜群ですし。
で、この相手役がフレッド・アステアって言って、マイケル・ジャクソンが一番尊敬していた踊り手で、ダンサーでもあるんですけどね。この人のタップときたら世界一で、なぜ世界一のタップかと言いますと、フレッド・アステアはものすごく痩せ質なんですけど、何を着てても形になるんですね。そしてどんな動きをしても、何もかもが素晴らしい、絵のような形になるんですよね。こういう人はいませんよ。歌はまぁまぁなんですけどね。あったかい歌を歌う人でね。
一番白眉なってるのはジュディ・ガーランドとフレッド・アステアが汚い格好で、そのホームレスの歌を歌うんですよ。この踊りと歌と何もかもが抜群で、おもしろくて、ファンタスティックで、そのくせ品があるんですね。これが本当の芸術だと思いますよ。
ではその映画の中のサントラの中から一曲お届けいたしましょうね。そのジュディ・ガーランドとフレッド・アステアの素敵なカップルでお送りしたいと思います。(終)
TBSラジオ『美輪明宏 薔薇色の日曜日』2016年8月21日より