美輪明宏ラジオの名言

美輪明宏の発言まとめ

【美輪明宏】舞台『黒蜥蜴』からの引退について、高見沢俊彦に語る

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この記事は2016年8月7日放送されたTBSラジオ高見沢俊彦のロックばん」での高見沢俊彦さんと美輪明宏さんの対談を書き起こした記事の第8回です。第7回の記事は次のリンクから読めます。

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高見→高見沢俊彦、美輪→美輪明宏の略です。

高見 最後にですね。美輪明宏さんがステージに立ちたい、というパワーは一体どこにあるんですかね?年間100ステージぐらいですよね。

美輪 はい。3時間30分のお芝居でしょ?休憩を除いても3時間でずばりでしょ?コンサートだと2時間30分たったひとりでしょ?

高見 はい。その原動力って言うのは一体何ですかね?

 

美輪 これは責務ですよね。だから、そういう環境に生まれて、そういう才能を授かって、いろんな条件がそろってるということは、これは天から使われている責務で、人々をひとりでも多く慰め励まし、そういうお役目を授かっていると思うのね。

高見 ほう。

美輪 その責任感があれば、それを遂行できるというわけですよ。

高見 凄い。それはちょっと自分も使わしていただきます。これは自分の命を与えられた責務ということで励んでいこうかなと。

美輪 そうすると、それが客席に伝わるんですよ。

高見 なるほど。

美輪 額の真ん中、ここがわたくし引っ込んで丸くなってるでしょう?

高見 なってますね。

美輪 第三の眼というところ。ここが発信機なんですよ。ここから会場全体のお客さんのひとりひとりに、隅から隅まで、全部そこに送り込むんですよ。そうすると私は1m60しかないんだけど、ものすごく大きく見えるって言うね。それは意識の調整。

高見 意識の調整…。もう今日は良い言葉をたくさんいただいてですね。

美輪 あ、そう、残念。

高見 (笑)残念ではないです。ご予定と言いますか、告知とかございましたら…

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最後の『黒蜥蜴』

美輪 えーっと大きいのはロマンティック劇場というのがございまして、パルコ劇場にお問い合わせしてください。9月には池袋の芸術劇場。ここで『黒蜥蜴』の最後の公演になります。

高見 えっ!?最後なんですか。

美輪 もう引退公演ですね。でも引退って言ったって、引退じゃなくて『愛の讃歌』とか『毛皮のマリー』だとか、代表作のお芝居はまだまだやりますけども、黒蜥蜴に関しては、いろんな諸々の都合があって、セットの都合とかね。もうセットもくたびれてきましたし。これをまた作り直すとなると、物凄い膨大なお金がかかるんですよ。それと早変わり早変わりで、せりふが膨大に長いんですね。それで洋服から着物、足袋まで履き替えるわけでしょ?早変わりで。それから背広になって、また着物になる。で、ドレスになって。ですから、さすがに私、体力的に完全なものを見せられるのは今のうちだけだな、と思って。不完全なものはご覧に入れたくないから、声のトーンも、少年時代と全然キーは変わってないんですよ。2オクターブ半のまま。

高見 へぇー、凄い。

美輪 だから譜面も十代の頃の譜面をキーを下げずにそのまま使ってるんですよね。だから三島さんの芝居のせりふは2オクターブ必要なんですよ。そうすると高い声の美しさが(低い声で)「ヴェッ!」っていう風になるから際立つわけ。それには2オクターブから2オクターブ半言わるわけ。

関連記事:【美輪明宏】三島由紀夫作、近代能楽集より『葵上』『卒塔婆小町』の上演について

 

 

あの時のお前は美しかったよ。真っ白なセーターを着て

仰向き加減のお前の顔が街頭の光を受けて

辺りには青葉の香りがむせるよう

お前は絵にかいたような悩める若者だった

つややかな髪も澄んだまなざしも

内側からの死の影のおかげで

水彩画みたいな儚さを持っていた

その瞬間私は この青年を自分の人形にしようと

思ったんだわ

 

 

高見 うわーっ!鳥肌立ちました、いま、僕。素晴らしい!

美輪 綺麗でしょ?三島さんのせりふってね。「お前の美しさは粉みじんに崩れてしまった!」こうなるんです、これが。どんでん返しでね。そうすると高い声の美しさが(低い声で)「ヴェッ!」って言う風になるわけでしょ?それには2オクターブ半いるわけ。それができるのは今のうちだけだからラスト公演になるわけですけど。

高見 これはぜひとも見逃してる方は見た方がいいですよ。

美輪 そうですよ。ご覧にならない方は一生後悔なさると思います。

高見 僕も後悔したくないんで、ぜひとも今回は。

美輪 みなさん来たら驚かれるんですよ。

高見 そこは美輪さんが文化の発信地として日本人の心を豊かにしてくれてるからじゃないですか。だって、人間って言うのは肉体と精神でできてるでしょ?精神を維持するためのビタミン剤って文化でしょ?だからその栄養剤を提供するわけだから。

高見 ぜひそう言ったお話を聞きたいと思いますので、これに懲りず、またゲストとしてお越しいただけると嬉しいなと。

美輪 こちらこそ。

高見 美輪明宏さんでした。

美輪 ありがとうございました。

(対談終わり)

この対談の第1回は次のリンクから読めます。

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