【美輪明宏】座禅の方法について語る
世界でも日本の禅がブームだそうです。美輪さんは座禅や瞑想などはされますでしょうか。
ということでございますけど、けっこうですね。
座禅ていうのは座って行うから座禅なんですね。立って瞑想するインドの方法もあります。とにかく形は何でもいいんですね。その人にとって一番安定した形がいいんです。
そして尾てい骨から頭のてっぺんまでを、背柱をまっすぐ棒を立てたようにするんです。かといってガチガチに力を入れない。ところが力を抜くと、ぐにゃぐにゃに背骨が曲がって、前かがみになるでしょう。この加減が難しいんですけどね。
軽く肩を引いて、お尻から頭のてっぺんまで、まっすぐ一本の棒にしちゃって、そして目を閉じた時に、意識して探してみると、額とかあごとか、そういうところにギュッと力が入っているんですね。
それで力が入っているところがどこかを探っていくんです。そうすると二の腕とか一の腕とかいろんなところにギュッと力が入っているんです。鼻からふわーっと吸って、口から糸のように軽く出しながら、体中の力を抜いていくんですね。
そして楽に、ちょうど虹色の雲の中にいるのを想像しながら、現実的なことは全部頭の中から追い払って、それが呼吸とともに消えていくように、そしてそういうことすら考えなくなって、頭を空にしちゃうんですよ。
そうしてると一番必要なものが言葉か文字になって、すっと入ってきますよね。こうしたほうがいい、ああしたほうがいいって。思いもかけないところから、そういう言葉や字が見えてきたりするんですよね。
ちょうどなぞなぞのように、暗示の一言が出てくるんです。それの謎を全部ひとりで解いていくんですけどね。そういうやり方もあります。
とにかく色即是空。形あるものはみんな空である。空即是色。形が全くないものが全ての原因でもあり、すべての物事を作っている。
奥が深いんでこれぐらいの時間じゃお話しできませんけど。簡単に申しますとそういうことでございました。
TBSラジオ『薔薇色の日曜日』2014年6月8日