【美輪明宏】ニューヨークでの活動の誘いを固辞した経緯を森岡賢に語る
これはSOFT BALLETの森岡賢と美輪明宏の対談を書き起こした記事の第1回です。森岡→森岡賢、美輪→美輪明宏の略です。
森岡 どうもSOFT BALLETの森岡賢です。こんばんは。今日はゲストに美輪明宏さんをお迎えして、来ていただいております。ありがとうございます。
美輪 いえいえ
森岡 2年前ぐらいに美輪さんとお会いして、曲を作ろうと思っていて、まだできていないんですけど…
美輪 そうですねー。この間、また(曲を)持ってきて、後半の方は盛り上がって
森岡 えぇ
美輪 だけど家へきて、私と会った時のインスピレーションで作ったアレンジがあったでしょ?
森岡 はい
美輪 アレは凄い。この世のものではないような、妖気が漂ってて、本当に素晴らしかった。やっぱり森岡賢っていうのは、坂本龍一よりも才能あるし…
森岡 ふふふ
美輪 世界的に通用する天才のひとりだと思ったわよ。
森岡 ありがとうございます。
美輪 後から手直ししてきたのはちょっと常識的になっちゃったわね。
森岡 結構、いつもそのはざまで悩んでいるようなところがあるんですけど
美輪 あ、そう?だから変に妥協しない方がいいんじゃないの?
ニューヨークでの活動を拒否した経緯
美輪 あなたが言ってたんだっけ?私の…
森岡 え?
美輪 ニューヨークに崇拝者が、5,6人できたら、自分のうちの連れて帰って、綿の祖ビデオテープを見せるって…
森岡 あっ!えぇ、そうなんです。僕とたまたま友達になった人が美輪さんの大ファンで、いろんな友達を連れてきて、美輪さんのビデオを見せるんです。
美輪 自分の家で?
森岡 えぇ、そこで僕も初めて『黒蜥蜴』を見させてもらったんです。
美輪 英語版の。ニューヨークですごく売れてるんですって。あのビデオテープ。
森岡 美輪さんのことを言ったら、みんな神様のように言ってらしたんで
美輪 それはどういう連中なの?例えばディスコなんかで知り合った連中?
森岡 …だったりとか、友達のカメラマンの知り合いの人だったりとか。生まれてからずっとあっちに住んでるゲイの男の方たちなんですけど…。だいたいみんなアート関係の仕事をしてるんです。
美輪 で、私が神様なの?ニューヨークで
森岡 そういうふうに思っている人たちが多いんじゃないでしょうかね。
美輪 あなたは「え?俺がこんな世界的な有名な人と友達なんてだったのか!」って、そう思ったんじゃない?
森岡 (笑)
美輪 それが面白いよね。この間もニューヨークからインタビューの申し込みが来てたけど、でもニューヨークへ来てくれって言うから行かないの。
森岡 あー
美輪 嫌だもの。命狙われるのは。ねぇ?
森岡 (笑)
美輪 そういうところがあるじゃない?変わっているって言われたわよ。ニューヨークタイムズに(記事が)大きく出たじゃない?私の『黒蜥蜴』の映画が大きく出て、ああいう芸能文化欄に大きく、デカデカと取り上げられるってことは無いのね。私の説明も出てて、三島由紀夫さんと一緒に。ニューヨーカーとか、いろんな雑誌にも出たしね。それで「あなたはニューヨークで有名人になったんだから、ニューヨークでやりなさい」って言うのね。
森岡 (笑)
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美輪 「みなさんも待ってるし」って言うんだけど「私は行きません」って言って。そしたら「あなたは贅沢だ」って言われたの。それで「どうしてですか?」って聞いたら、「ニューヨークにはあなたも知っている通り、世界各国から有名になろうと思って、ブロードウェイなんて何万人って人がいる。ニューヨークタイムズにたった1行でも名前が出たらもう死んでも良いって人もいっぱいいて、あれだけ書き立てられて有名になった。ニューヨークにもあなたのファンがたくさんいるのに、それでも来ないっていうのは贅沢過ぎないか?」って。だから「私は贅沢な女です。なぜなら黒蜥蜴だから」って。
森岡 (笑)
美輪 笑ってたわよ。
森岡 へー
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