【美輪明宏】タモリとたけし、ふたりの天才について、『笑っていいとも!』終了
今日のお話でございますけど、他局の話で恐れ入りますけど、『笑っていいとも!』についてお話させていただきましょうね。
今月31日、商売敵ではありますけど、フジテレビの『笑っていいとも!』が終了になるんです。
『笑っていいとも』は1982年から32年間で放送回数が8000回ですって!凄いですねぇ。
私がいつだったか最後に出た時に、「私(出演回数は)2回か3回かしら」って言ったら、「何言ってんですか!」ってタモリさんに言われて、「もうずいぶん出てますよ」って言われて、「あぁそれもそうだわね」って思ったんです。
初めて出演したのは覚えてないんですよ。私なんでも忘れるもんですからね。間抜けで忘れてばかりいるんですよ。だけどタモリさんのことはよく覚えていますよ。
あの方が『笑っていいとも!』どころか、テレビにお出にならない頃、街の面白い方ってことで漫画家の人たちと集団でそこへ潜りこんでいたときなんですね。
フジテレビでなくて日本テレビのプロデュサーの方がいまして、その人が変わった人、面白い人で、ディレクター兼プロデュサーだったんだけども、タモリさんていう面白いのがいるというのを聞いて、番組に出したんですよ。夜の番組にね。
そして一人でマージャンをするんだけど、でたらめのフランス語や中国語をしゃべりながらマージャンを打つ。そういう面白い芸当をやっていらしたの。
私はそれを見てて、すぐディレクターの井原さんという方に電話して、「ちょっと凄いの見つけてきたわね」って言ったら、「なにが?」って言うから、「どこから掘り出してきたの?」って言ったら「やっぱり素人は素人ですからね。あんなもんですよ」なんて言ってて、そんな大したもんじゃありませんって言ってたの。
そしたらああやって化けちゃったでしょ?だから「あなたは見る目が無かったわね」って、後になって、そのディレクターに言ってやったの。
いつだったか『笑っていいとも!』でタモリさんにその話をしましたら、『俺に行ったのと違うじゃないか!』って本番にカメラに向かって言ってましたよ。タモリさんには別のこと言ってたみたいだから。
やっぱり天才って言うのは光りますね。何か違う。(ビート)たけしさんが出てきた時も世間で環ぼろくそに言われてましたけど、たけしさんが家に来た時に「あなたは天才だわね」って言ったら、番組でちょっとお手伝いしてたおすぎがミキサー室から出てきて「まぁ美輪さん、どこか天才なの?ただの馬鹿よ、これは!」って言って。だから私は「バカには天才が分からないのよ。今に歴史が証明するから見ててごらんなさい」って言ったの。そしたらやっぱりそうだったでしょう?自慢じゃないけど私は見る目があるんですよ。
それにしても残念だなぁ。私がいつだったか出た時には、視聴率が17%だったんですよ。そしたら番組の担当者に、局長さんからお花が届いたそうですって言われました。これはめでたいことですけど。
まぁそれにしても、祇園精舎の金の声、移ろいゆくは世の中の常、しょうがないですねぇ。
TBSラジオ『美輪明宏 薔薇色の日曜日』2014年3月16日放送分より
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