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【美輪明宏】カール・ブッセの『山のあなた』について語る

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今日は私の大好きな詩、ポエムをご紹介させていただきたいと思います。

 

最近twittertwitterで結構なんですけど、詩を愛する心が失われていて、そして小さいお子さん、幼稚園当たりの子であってもかわいらしい動揺が昔はありましたでしょう?「ぞうさん ぞうさん お鼻が長いのね」っていうのもあったし、『犬のおまわりさん』っだとかもっと古くなると、『かもめの水兵さん』だとか、詩も曲もかわいらしいですよね。

 

 

そこに本当にロマンがあって、それが秀でて大人になって、それを聞くと途端に子供の頃の純粋さを取り戻して、いい人の部分を取り戻して、自分自身もほっとして、周りもホッとするという。

 

最近のはメロディはほとんど無機質で、詞もロクな詞がございませんでしょう?これはちょっと一大事だと思ってますよ。

 

昔は詩が日常生活の中に組み込まれてましたし、うんと若い方もお年を召した方にもとにかく詩どころじゃない、食べるので精一杯だったという弱肉強食でやってこられて、文化なんてどこかに置いてきちゃったなんて言う40,50,60の方たちももう一度誌、ポエムを振り返ってみていただきたいと思いますね。

 

Twitterでもいいですから、短い俳句なり詩なりをちょこちょこっと呟いていただくと、どんなに世の中が豊かになるかもしれません。

 

おすすめはいろいろございますけど、詩集ですね。竹久夢二という大正から昭和初期にかけて大活躍した大天才。この人の『永遠のユダヤ人』という詩集がございますね。これは良い詩があるんですよね。

 

あと佐藤春夫『秋刀魚の歌』っていううんと風情があって、しみじみと渋い詩ですね。

 

では詩、ポエムをひとつお届けしたいと思いますけど、今日はカール・ブッセの上田敏さんの訳でございます。堀口大学さんとかいろんな訳がございますけれど、訳によってちょっとしたニュアンスで詩の雰囲気が全く別のものになりますね。

 『山のあなた』カール・ブッセ

『山の彼方』と書きまして、「やまのあなた」と読みます。『山のあなた』って言うと、山に住んでいるあなた、とそんな感じがしますけど、これは「彼方」であって「わたくし・あなた」のあなたではございませんので、その点お含みおきいただきたいと思います。『山のあなた』という詩でございます。

 

カール・ブッセはもともとドイツ人なんですね。カールという名前は、だいたいドイツ人の名前なんですけどね。19世紀、20世紀に活躍した新ロマン派の詩人なんですね。

 

これをお訳詞になった上田敏さんという方は明治、大正に大活躍なさった翻訳家でございます。森鴎外、私の子の方の娘さんの森茉莉さんとお友達になってたんですけども、そのお父様の森鴎外とも仲良しでいらして、文芸春秋を作られて菊池寛。この方はお師匠さんだったんですんね。上田敏のお師匠さんが菊池寛ということで、大変えらい方でございます。その方が、翻訳なさった『山のあなた』カール・ブッセ。上田敏の訳でございます。

 

山のあなたの 空遠く(やまのあなたの そらとおく)

「幸」住むと 人のいふ(さいわいすむと ひとのゆう)

噫われひとと 尋めゆきて(ああわれひとと とめゆきて)

涙さしぐみ かへりきぬ(なみださしぐみ かえりきぬ)

山のあなたに なほ遠く(やまのあなたに なおとおく)

「幸」住むと 人のいふ(さいわいすむと ひとのゆう)

 

 

山のあなた』カール・ブッセ。上田敏の訳でございました。

 

TBSラジオ美輪明宏 薔薇色の日曜日』2015年3月29日放送分より

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