【美輪明宏】ロマン溢れる長崎の教会群、大浦天主堂について
今日のお話は長崎についてお話させていただきたいと思います。今年9月に政府が、長崎の教会群を世界遺産に推薦することを決定しました。順当にいけば、世界遺産に登録されるかもしれません。
でもね、やっぱり痛しかゆしなんですよね。そうやって世界遺産に指定されるのはありがたいことだけども、いたずら書きがね。マナーの良い人ばかりじゃありませんから。自分や自分の彼女の名前や何かを、大きく落書きしたり、取り返しがつかないですよね。
ああいうことをする人は本当に重刑にした方が良いと思いますよね。牢屋に10年か20年ぶち込まれるんだとか、そういうふうにしてないと、人類の財産を滅茶苦茶にされますからね。特に教会なんてところは、そういう被害にあいやすいですし。
大浦天主堂っていうところは、『紫の履歴書』っていう自叙伝にも自分で、大浦天主堂の絵を描いています。しょっちゅうあそこに言ってデッサンしてたんですけど、そのころはちょうど天主堂の正面玄関のところに座っていますと、長崎の市が、港から山の手の方までみんな見えたんですね。
そして前はよく夕方にお祈りのオラショみたいな、とってもきれいな、カトリック系ですからね。いかにもロマン小説に舞台になるような雰囲気で。
そして正面玄関のところにマリア様がっ立っていまして、マリア様の足元のところにAとMの重ね合わせたマークが書いてあったんですよね。わたくしの「Akihiro Maruyama」、「Akihiro Miwa」のイニシャルもAとMで、それを重ね合わせたものなんですよね。
12世紀の頃のカルメル教会で、イエス・キリストやマリアを象徴する記号として使われてたみたいなんです。いろんな不思議なことがあって、そういうロマンがある所なんですね。
長崎の湾岸の五島列島に向かって素晴らしい景色が広がってまして、稲佐山とか上の方から見ますと、そこに素敵な教会が点在してるんです。いかにも隠れキリシタンの、信仰の厚い、純朴な人たちの美しさがそこに込められている、漂っているようなそういう気がいたしますね。
いらしたことが無い方は、長崎の隠れた観光名所がございますので、ぜひお楽しみいただきたいと思います。ついでにちゃんぽんもどうぞ。美味しいですよ。
『薔薇色の日曜日』2014年10月5日