【美輪明宏】宮沢賢治の魅力について語る
今日はまず皆様からのお便りをご紹介させていただきたいと思います。
ラジオネームが「みかんの花咲く家」さんでございます。未完の花が咲いている~♪そういう風に咲いている?家のなかでしょうかね?では読ませていただきます。
美輪さん、スタッフの皆さん、ごきげんよう。今年は私の好きな作家宮沢賢治の生誕120周年です。ぜひ美輪さんから宮沢賢治のお話や、子どもにおすすめの作品を伺えればと思います。
宮沢賢治の作品で、子どものころ私が読ませてもらったのは、『注文の多い料理店』そして『銀河鉄道の夜』です。で、『春と修羅』、『オッペルと象』など、これもかわいい作品でしたけどもね。
あの作品の魅力で言いますと、全体で言いますと、とにかく自己犠牲というんでしょうかね?自分はどうでもよろしいって、とにかく相手が健康で平和で幸せでありますように。ねぇどんなことでもしてあげましょう。その代わり見返りは何もいりません。で、それがわたくしの幸せなんですから、っていうことでね。無償の愛ですね。
ホント無欲恬淡でそこまで行くと強いですよね。とにかく欲がなくなった人間って言うのは、ものすごく強いですよ。欲があるからみんな弱くなるんですよね。性欲、物欲、名誉欲、いろんな欲がある。強くて優しいこれは確かですよね。
で、『風の又三郎』というのもありますけど、これは本当に田舎の方の田んぼにしても畑にしても、草がざわざわざわざわ揺れますでしょう。そして水の匂いがしたり、必ず季節の匂いがする。それを実に短い言葉の中で表してる。
『風の又三郎』をちょっとご紹介しますと
どっどど どどうど どどうど どどう
青いくるみも吹きとばせ
すっぱいかりんも吹きとばせ
どっどど どどうど どどうど どどう
ということなんですけどね.。
TBSラジオ『美輪明宏 薔薇色の日曜日』2016年9月18日放送分より