【美輪明宏】男性の化粧について語る
ごきげんよう。美輪明宏がお送りいたします『薔薇色の日曜日』の時間でございます。(2016年10月2日放送)
今日はまず皆様のお便りをご紹介させていただこうと思います。ラジオネーム、アルペジオさんからでございます。音楽や何かをやってらっしゃる方なんでございましょうかね?こういうアルペジオなんて音楽用語をお使いになっているということは。
毎週日曜日、美輪さんの「ごきげんよう」を心待ちにしております。大好きな美輪さんに聞いてみたいのは男性用の化粧品についてです。最近私がよく行く百貨店に男性用化粧品コーナーができていて驚きました。美輪さんはお化粧やネイルケアをする男性をどう思いますか?ちなみにウチの高校生の息子に話したところ、興味津々のようでした。うーむ。
と、いうことでございますけどね。昔だったら考えられないとか、男性タレントでもお化粧する方なんていますから、りゅうちぇるさんみたいに、とか。ご質問もございますけどね。昔だったら考えられないじゃなくて、それは戦時中の話なんですよ。
それ以前の「モガ・モボ」、モダンガール、モダンボーイ、これを略した、つまり大正モダンから昭和初期の昭和モダン、このころはそういうの(化粧した男性)がざらにいたんです。当たり前でした。
戦前のフランス映画なんかでも、床屋さんみたいなのがあって、そこへ主人公が入ってきて、「今日はどうなさる?」って聞いたら、じゃあ「マニキュアだけでいいや」って言って爪の手入れをするシーンがあるんですね。
そしてもっとさかのぼると、平安時代にお化粧してたんですよ、貴族なんてのは。それで、元禄時代は若衆がお化粧してるとか、おしゃれしてるって言うのは、もう満開の時で、当たり前だったんですね。
ですから人類どこでも、例えば低開発国でも、そういうジャングルの中に住んでいるような人たち、男の方がすごいでしょ?オシャレで。クジャクと同じですよ。
男のオシャレは本能
男というのは、着飾って派手におしゃれをするというのは、本能で昔からあるんですね。歴史的に。で、それが男は男らしく、何にもしないで男は丸刈りで国民服を着てて、ということが奨励されてて。
ですから、りゅうちぇるという人は女の人が好きな男の子ですけど、ガールフレンドもいて結婚もしたいって言ってる。だから大昔の貴族やお小姓や…ギリシャ・ローマ時代もそうですね。
そういうものもご覧になると、まぁお化粧したり、華やかに着飾ったギリシャ・ローマの男たちが山ほど出てきますよ。ご存じなかったとおもうんですけど。
ですから、その時代にまた時計の針が戻ったということ。これは平和の象徴ですから、わたくしは結構なことだと思っていますよ。
TBSラジオ『薔薇色の日曜日』2016年10月2日放送分より
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