【美輪明宏】きゃりーぱみゅぱみゅは出雲阿国の生まれ変わり?
この記事は2017年1月1日放送のTBSラジオ『美輪明宏 愛の手引書2017』の書き起こしの第2回の記事です。第1回は次のリンクから読めます。
(美輪)→美輪明宏、(きゃりー)→きゃりーぱみゅぱみゅ、(アナ)安東弘樹アナウンサーを指します。
愛の手引書 第1章 かわいい
(アナ)さて、ここからは日本の元祖ビジュアル系の美輪明宏さんと日本のポップカルチャーを代表するきゃりーさんに、日本が世界に発信する文化「かわいい」について語っていただきます。
(きゃりー)はい
(アナ)元祖ビジュアル系ということでよろしいんでしょうか?美輪さん
(美輪)元祖はもう平安時代にお小姓文化とかお稚児さん文化が存在してますから…
(きゃりー)へぇ…
(美輪)だからお公家さんはお歯黒に歯を染めて眉毛剃ってお化粧して白塗りで。観阿弥世阿弥の能狂言。この時に男が半分女みたいな格好をしてたわけだし、そして今度は、元禄になると若衆茶屋って言ってゲイバーが真っ盛りだったの。
(きゃりー)そんなに昔からあるんですね!
(美輪)あるんですよ。歌舞伎の創始者の出雲阿国は女だけど、その当時、織田信長はキリスト教を受け入れてて、西洋文明を取り入れて十字架を賭けたファッションを初めて考え出したのが出雲阿国なの。で、そんな時代から中世的なファッションをやってたわけでしょう?それがきゃりーぱみゅぱみゅちゃんに繋がったわけ。私のイメージの中の話だけど。
(きゃりー・アナ)へぇ~
(アナ)ビジュアル系の歴史がこの数分間でつまびらかになりましたね。
(美輪)きゃりーちゃんは出雲阿国だってわたくし思ってたんです。最先端に言ってたわけね。
(アナ)きゃりーさん、出雲阿国と言われた感想は?
(きゃりー)もう、とても嬉しいです。でも、やっぱり出始めの時は、名前もきゃりーぱみゅという名前だったし、見た目もクレイジーなファッションをしてたので、賛否両論でした。変な奴だってすごい言われたし。でも、美輪さんに今こうして褒めていただいて、やってきてよかったと思いました。
(美輪)なんでもそうなのよ。なんでも賛否両論。どんなものでもそれが当たり前なんです。だから気にすることは無いです。
(きゃりー)はい!
(美輪)私なんかも軍国主義の名残の終戦後だったでしょう?世界で初めてビジュアル系でやったわけだから、それはもう袋叩きの目に逢いましたよ。でも平気だったですね。
(きゃりー)ほう?
(美輪)(批判した人に対して)あなたたちは、批判できるほどまともな方なの?って
(きゃりー)そうですよね…
(美輪)なんぼのもんなの?あなたは?って…
(アナ)もうここで、番組終わってもいいくらいのありがたいお話が聞けましたけど…。
(きゃりー)はい、さっそく。
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カワイイの意味
(アナ)そんな中、「かわいい」というきゃりーさんが日本から発信したといっても過言ではないという状況ですが、どうですか?世界共通語になりつつあるという実感はありますか?
(きゃりー)あります!私もかわいいものってすごく好きですし、外国でライブしてると「カワイイ!」って外国の方が言ってくれることが多いんですけど。ちょっと困る質問があって…
(美輪)えぇ。
(きゃりー)「カワイイって何ですか?」ってストレートに聞かれることがあるんですよ。
(アナ)海外の方から?
(きゃりー)そうなんです。で、「まぁそれはひとそれぞれだし、正解なんてないよなぁ」って思うんですけど、美輪さん的には「カワイイ」ってどういうことだと思いますか?
(美輪)Very cute!
(きゃりー)Very cute!
(美輪)CuteだとかPrettyだとか。その中にやっぱりエレガンスも入ってると思うんですね。
(きゃりー)あぁ!なるほど!
(美輪)だからいろんな意味が込められてると思うの。日本は豊富すぎるくらいたくさん言葉の種類があるんですよ。
(きゃりー)はい、そうですね。
(美輪)外国はそういう種類が少ないのね。マンガでもセサミ・ストリートとかいろいろあるじゃないですか?みんなキャラクターがグロテスクなの!
(きゃりー)ハハハッ!あぁ、確かに…
(アナ)確かにグロテスクですね。
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(美輪)だって幽霊だって化け物だって、フランケンシュタインだとか、ドラキュラだとか。グロでしょう?怖くて。日本のお化けって言うのは、ちょうちんのお化けとか、桶のお化けとか、から傘のお化け。酷いのになるとふんどしのお化けまでいるわけでしょう?ね?
(きゃりー)うん
(美輪)みんなかわいくて、ユーモアがあるの。
(アナ)コミカルですね
(きゃりー)そうですね
(美輪)そうなのよ。だからそこが外国と違って日本独特のものなの。
(きゃりー)確かにグロテスクかも。
(美輪)カワイイアニメとか漫画とか劇画を、向こうの人は作るのが苦手なの。どうやってもできないんですよ。
(アナ)だからこそ、きゃりーさんが海外の方が見て、今まで見たことのないカワイイものを見たってことで魅了されるんでしょうね。
(美輪)そうなのよ。しかもアニメじゃなくて、生身の人間でしょう?生きてるでしょう?それで私テレビでいろいろあなたのショーを見させていただいたんだけども…
(きゃりー)はい
(美輪)きゃりーさんのことを「時空を超えた天才」だってわたくし言っているんですけども
(きゃりー)ありがとうございます。
(美輪)それは洋服のデザインなんか自分でするわけでしょう?
(きゃりー)はい
(美輪)それで周りのバックダンサーたちの服装はどうなの?
(きゃりー)服装も一応、顔を隠すって言うことだったり考えて、いろいろやってますね。
(美輪)その照明は?
(きゃりー)照明は井上さんという方がずっとやってくれていて、技術が素敵な方です。
(美輪)(井上さんは)あなたの分身なのね?あなたが思っているような照明とか、いろんなものをやってくれるわけね?
(きゃりー)そうです、本当に。自分が思っている以上のものをいつも提供してくれます。
(美輪)だから、人間は一人じゃ無理なのね。照明さんも、美術の人も、衣装さんたちやいろんな人も、ちょうど孫悟空が毛を抜いてフッとやると分身が出るみたいに、きゃりーちゃんの分身みたいに同じように呼吸して。「つう」って言えば「かあ」って言ってくれるような人ね。そういう人に恵まれているかいないか。それで成立するかしないかが決まるのよね。
(きゃりー)なるほど。すごく恵まれていると思います、私は。
(アナ)体現できているってことですね。そして、お話を原宿の話にいっていいですか?
(きゃりー)はい
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TBSラジオ『美輪明宏 愛の手引書2017』2017年1月1日放送分より