【美輪明宏】国を滅ぼす過剰なナショナリズムについて
今日は、今、話題になっておりますナショナリズムについて、お話させていただきます。ナショナリズムって言うと、お若い方はお分かりにならない方もいらっしゃるかもしれませんが、民族主義ですよね。
結局、国を亡ぼすのは、過剰な愛国心。これが身を滅ぼすんですね。それは第二次大戦がそうでしたから。もう日本は強いだとか、どこにも負けないとか、大和魂だとか。それは結構ですよ。私も日本人ですからそういうものを持っていますけどね。
でもそれが間違った方向に言ったナショナリズムですと。例えばドイツのヒトラーが。ゲルマン民族こそが世界一で、後の民族は木っ端みたいなもんで人間ではないと。そういうたったひとりか2,3人の精神がおかしくなっちゃった、つまり昔から言われている狂人たちに権力を持たせることの怖さですよね。
第二次大戦の勃発でも山本五十六さんっていう海軍大将がいらしたんだけども、この方はアメリカで勉強なさっていたんで、アメリカの国力、財力、文明力。それから石油はだぶだぶ出てるし、資源力そういうものは在庫が余るくらいなんです。
じゃあ日本はどうかというと、石油は新潟の方でちょろっと出るだけ。それに石炭じゃ飛行機は飛びませんからね。あとは資源は無い。貧しい。
それなのにまず戦争を初めて、敵も知らないで、ただ大和魂だ、ナショナリズムだ、民族主義だって。何の知力も無くて、考えることもしないで、それが個人が亡びるだけじゃなくて、国全体が亡びるわけですからね。
ですから、いい加減に安倍さんや石破さんや麻生さんとか、あの辺の自民党の人たちも、あとはこれを支持する人たち。こういう人たちが日本を滅ぼすということです。
そして安倍さんに言いたいんですけど、あなたはそんなに同胞を殺したいんですか?つまり学ばないんですよ、歴史に。日本人ぐらい歴史に学ばないのも珍しいですね。まぁ、呆れてものが言えませんね。
ですから自民党を支持なさる方たちは、よーく次の選挙のときに実行していただきたいと思います。
本当の愛国心ていうのは、大正時代に暗殺されました原敬っていう素晴らしい首相がいたんですけどね。
日本は、鉄も石油もニッケルも、何の資源も採れない。採れるのは、日本人の人的資源。つまり技術とか好奇心とか、よく働く。つまり文化、これが世界に伍すだけの素晴らしいものを持っている。それで勝負しなきゃいけない。まさにそうなんです。
ですから日本は、世界のトップレベルを走ってる、ロボットであるとか、悔悟のためのモノとか、世の中に役に立つものをどんどん町工場の人たちが作ってるんですよ。
ああいう人たちを冷遇しないで、大企業がもっと自分たちの儲けを削って、そういった下支えしている人たちに、お金をもっともっと出せばいいんですよ。シンガポールのリー・クアン・ユー首相みたいに。文化文明の方で日本は世界に伍していくだけの素晴らしい力を持っているわけですから、それしかありませんよ。
TBSラジオ『薔薇色の日曜日』2014年6月29日放送分
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