美輪明宏ラジオの名言

美輪明宏の発言まとめ

【美輪明宏】昔のナイトクラブについて

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今日は、お若い方はご存じないと思いますけど、ナイトクラブについてお話させていただきたいと思います。ナイトクラブと言いますと、今の方は、ホステス・ホストがいるところを想像なさるでしょうけど、そうじゃないんですね。

 

もともとは給仕をするボーイさんとマネージャーと料理人、そういった人たちだけなんです。お酒の時におもてなしをする女給さんだとかホストはいないんですね。

 

終戦後に日本にそれが出来たのはアメリカが日本を占領してましたでしょう?それでアメリカ人のために最初できまして、それから日本人にも開放されてっていうふうになったんです。もともと進駐軍のキャンプの人たちがキャンプじゃつまらないからってことで、そういうものが出来たんです。

 

静かな音楽で、恋人なりご夫婦で言って、頬と頬を寄せてチークダンスで動くともなし動かないともなし、雰囲気を楽しんで、静かな音楽で、賑やかな音楽はほんのたまにしかやらない。恋をささやく、そういうところだったんです。

 

だけど最近の若い人は気の毒ですね。ナイトクラブが一軒もなくなって風情も何もロマンなんて全くありませんでしょう?参加して騒ぎまくってるだけ。ディスコとか何とかいうんでしょうけども、ナイトクラブはそういうもんじゃないんですね。

 

私がパリに行ったときにロシアンカフェに連れていかれたんですね。ロシアンカフェはパリに5,6件しかありませんでしたけど、今は残念ながら1件もなくなっちゃったそうですけどね。

 

私が連れていかれたところは全部のカラーがブルーと金なんですね。テーブルクロスから食器から、壁紙からカーテンからボーイさんの衣装まで全部徹底してブルーと金。それはまぁ綺麗で、その美しさは夢のようで。

 

静かな曲をかけてますでしょう?それで私が来たらリクエストを聞きに来たんで、私が2つの曲を弾いてくださいって、ジブシー音楽を注文しまして、チップ渡したら彼らが下がっていったんですね。私をエスコートして連れてってくれた、昔貴族だった遊び人の青年でフランス人だったんですけども、それが「僕には恥をかかせて。レディ^があんなことしちゃいけない。レディが直接バンドの人と口をきいてチップを渡すなんて行儀の悪いこと、あんな下品なことはしないでください。エスコートしてる我々紳士がいるんだから、我々に言ってくれれば、我々がリクエストをしてチップを渡すんです。二度とあんなことしないでください。レディーらしくもない」って。わたしは自分がレディーだということを忘れてたんですね。それでとんだ恥をかいたんです。

 

そして賑やかな音楽がかかったんで、彼に「踊ろう」って言ったら「踊らない」っていうんで、みなさん楽しそうに宝石だらけの人や勲章付けた紳士なんかが楽しそうに踊ってらっしゃるんで、私ひとりで踊り出したんですよ。そして踊り終わったら、周りの人がわーって寄ってきまして、拍手喝さいで。私が席へ着いたら、一流のぶどう酒やシャンパンがテーブルいっぱいに届けられたんですよ。そしたら一緒に言ってた彼が、あんなに怒ってたのに「また明日来ようか」なんて。ケチですね。

 

いい思い出がありました。ではそのロシアンカフェ。そういう所がもう日本も先進国になったんだから一軒くらいできたっていいんですけどね。でもパリにも一軒もなくなったんだから仕方のないことなんですかね?

 

TBSラジオ美輪明宏 薔薇色の日曜日』2013年11月放送分より

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