【伊集院×美輪対談⑥】美輪さん、昔の雑誌記者のねつ造体質について語る
(伊集院)それで半分正解なんですよ。この時のインタビューでは。サービスもあってもう一個付け足してるんですけど
(美輪)何があったの?
(伊集院)えーっとね。(美輪さんが)女子トイレに行くと
(美輪)あっ、それはね。記者が勝手に作ったの
(伊集院)でも、インタビューとか調べてみるとそういうことっていっぱいあるんですよね
(美輪)あの頃はそういう時代だったの。というのは芸能人が経済の話をするのはもってのほかだっていう
(伊集院)えー
(美輪)芸人は芸人らしく下品な話をしていればよろしいっていう。で有馬稲子さんも文学の話なんかをして他のね。そしてらなんだ女優の癖にって言うんで滅茶苦茶にこき下ろされたの
(伊集院)このインタビューの中で奇抜な格好をしたことにはそんなに触れてないんですよ
(美輪)そうでしょ
(伊集院)奇抜な格好をして女性トイレに行くようになったから退学になったって書かれているのは、今みたいな話をしても、これ程度の扱いされたうえに面白エピソードを付け足されちゃうって言う…
(美輪)いや、もっとひどくねつ造されるの
(伊集院)へえー
(美輪)私が言ったことは、私が言った内容は、政治とか、いろいろなイデオロギーの問題とかあったじゃないですか。それは一切載ったことが無いの
(伊集院)はぁー
(美輪)インタビューでは、一度も無い。それで記者がわたくしに対して感じた感想。それと会社へ帰って、デスクがわたくしに対して持っている嫌悪感とかいろいろあるじゃないですか?
(伊集院)はいはい
(美輪)それをそのまま記事にして出すんですよ
(伊集院)今でも、インタビュー受けてニュアンスが違う時あるじゃないですか。僕はこうやって言ったんだけどもニュアンスが違うとか、そういう次元ではなくて
(美輪)そういう次元じゃないのよ
(伊集院)言ってないことも入るんだ
(美輪)今は自分でチェックして、直してチェックできる時代だけど…
(伊集院)はい
(美輪)だから私、雑誌社の取材の人に「今は良い世の中になったわねー」って言うの
(伊集院)へー
(美輪)だって昔は芸人と物書きと株屋は正面玄関から入れるなって言うのが、まともなおうちの家訓だったのよ
(伊集院)すごいなぁー
(美輪)そういう風に、卑しいものは卑しい発言だけしていれば良い、生意気だっていうふうな時代だったの
(伊集院)僕らはその時代を知らないから、ゲラチェックって言うんですけど、一回インタビューして記事にしたものを「どうぞこれでいいですか?」って、ある程度見せてくれるんですけど、そん時僕らは「―だと思いますが」を「―だ」って変えてあるだけでこだわって嫌だって言いますが、それどころじゃないんですね
(美輪)それどころじゃない
(伊集院)一方的にイメージで書かれるだけ書かれる
(美輪)そう。そして私の言った内容なんて全部ふっ飛ばしちゃって、「―と言いながら、丸山は記者に秋波を送った」みたいな
(伊集院)そんな書く側の気分次第じゃないですか
(美輪)「秋波を送った」って私が色目使ったって書いてあるの
(伊集院)はい。見てる人は、美輪さんがそういう人なんだと思いますもんね
(美輪)そうそう。だからわたくし、日本中に恐ろしい気持ちの悪い人だって書かれて。何でもよかったのよ、有名になればね
(伊集院)へぇ
(美輪)それで有名になっちゃったの
(伊集院)それ凄いなぁ
(美輪)だけど私が耐えていられたのは、私の周りにいたのは、そういう馬鹿な低俗な連中だけじゃなくて、銀パリにいてのは、サラリーマンにしても学生にしても、全部ただ物じゃないインテリばっかり集まってたの