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【美輪明宏】音痴だった三島由紀夫がチャリティ・リサイタルに出演するまでを語る

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※この記事は上の記事の続きです。

そのチャリティーの前に、三島由紀夫さんが詩をお書きになって、キミが曲をつけてくれたまえって言われたんで、私が作曲して、『造花のバラに殺された水夫の歌』って言う長いタイトルで。それを馬込の家に通って、ピアニストと一緒に行って、ずっと毎日練習したんですよね。

 

 

始めは、音楽っていうものを堅気の商売じゃないからっていうことで、お父様が物凄く嫌ってらしたのね、芸能のことを。それで音楽がウチの中で鳴らしっぱなしになったり、聞いたりする習慣がないんで、酷い音痴でいらしたの。ところが一週間で直しちゃいましたよ。精神力がすごいんですね。集中力が。

 

そうして始まりますでしょ。始まる前は丸山くん、丸山くんっておっしゃってて、それで稽古が始まったら丸山さんになって、時々先生っておっしゃるの。それで言葉遣いも丁寧語になるんですよね。この方はそういうところの仕分けがきちっとできている方だなぁと思って。

 

さて当日になりました。当日になったら受付の方が、三島さんもう1時間前に入ってますよって。えー第3部の後の方からの出演で、そんなに早く入る必要なにのに、リハーサルもずっと後からだから。

 

それで、三島さんの楽屋に行きましたら、パイプいすを並べて寝っ転がっていらして、そいで足を鏡台の上にあげて、奥様と付き人みたいなことを引き受けた人と二人たってたんですよ。

 

それで奥様はハンドバッグを下げてあきれ顔をしてる。どうなさった?っていったら、三島さんが、「おい煙草」っておっしゃるの、そしたら奥様がハンドバッグから煙草を取り出して、火をつけておあげになったの。その後で「はぁスターって言うのは、なんて傲慢でいいものなんだろう」っておっしゃるのね。

 

そしたら奥さんが、「丸さんちょっと聞いてよ、さっきからこれなのよ」って「スターの大物ぶっちゃってさ」って。

 

それで始まったら、お上手にお歌いになって、大好評だったのね。マスコミも大喜びだったのね。

 

ところがマスコミが終わった後、三島さんにいろいろポージングをさせるんですよ、キャメランがね。ところでお腹の中でいかに滑稽に扱ってやろうかっていう悪意が見えてたわけ。だから変なポーズばっかりさせたり、三島さんはそんなことが分からない純情な方だから、そういうふうに言われた通りのポーズをとったんですよ。だから私は、「それはダメ。およしなさいまし」って「そんな悪意のある事はやめてください」って、私怒ったんですよ。

 

ですから私、マスコミから今でも評判が悪いんですけどね。

 

良いところを撮ってくれるなら大歓迎なんだけど、三島さんが気の毒になっちゃったのね。それでギャラどうしましょうって言ったら1,000万円よこせなんて。ふっふっっ。「嘘でしょ」って言ったら「嘘に決まってるだろ」って言われて。

 

とにかくよい経験をさせてもらったと、そうおっしゃってましたよ。

 

あぁ良い方でしたね。今頃は天国で、今でもスターで歌ってらっしゃるんじゃないですか。

 

TBSラジオ『薔薇色の日曜日』2016年9月11日放送分より

 

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