【美輪明宏】ブラジルの音楽について語る
いよいよこの夏、ブラジルでオリンピックが開催されますね。ブラジルと申しますと、わたくしイメージではリオのカーニバルとか、サンバとかそいういうものですけれども。みなさんいかがですか。
音楽が素晴らしいんですよ。あちらの音楽はラテン・ミュージックって言いまして終戦後の話ですけども、南米の音楽がどっと入ってきたんですね。
そしてザビア・クガートっていうルンバの王様って言われている人でね。これがいろんなヒット曲を出してまして、日本でも大流行したんですよ。
日本に大流行で入ってきたんですけども、ペレス・プラードっていうマンボの王様って言われる人がいて、この人も南米の音楽を日本で流行らせたんですけども。
みんな踊りたくてもステップを知らないんですよ。わたくしが進駐軍のキャンプ周りしててね。そのマンボだとかルンバだとか、その進駐軍の兵隊たちに教わってましたんで友達に教えて。
それでキャバレーが昼間はお酒を売らないで、ソフトドリンクだけで、生のバンドで。(当時)生の大編成のバンドが流行ってまして。少ないところで9人ぐらい。多いところで17,18人は入ってましたね。そういうバンドが演奏してましてね。
普通のフォークだとかワルツだとか、クイックスロースローでいろんな音楽を演奏するんですけど、なんと、マンボやルンバになりますと、踊りのステップを知らないから会場ががら空きになっちゃうんですよ、みんな。
それでわたくしが友達と二人で踊っていると羨ましがった土地のあんちゃんたちが、お礼も教えてくれよって言ってくるんですよ。じゃあ後ろに並びなさいって言ったら、私の後ろにズラーっと並んで、マンボやルンバのステップを教えて。
おもしろい愉快な時代でしたよ。わたくしもまだ10代の後半でしたけどもね。不良だったんですね。とっても楽しい思い出でしたけども。
TBSラジオ『美輪明宏 薔薇色の日曜日』2016年7月17日放送分より