【美輪明宏】自らのストイックな生活について語る
わたくし、よく81歳にもなって仕事にしすぎでしょうだとか、少し考えなさいだとか余計なことを言う人がいるんですけど。
だって別に81歳だから、引っ込まなきゃいけないってことも無いし、81歳を60引いたっていいじゃないですか。だって21歳ですから、そりゃもう、飛んだり跳ねたりしてますし。あのお芝居やコンサートの時も気を付けますし。
ただ言えるのは、いろんなアーティストの人たちが、歌い手さんも、役者の人たちも仕事が終わると飲みに行って朝まで飲んでるとか、ちょっと休みを見つけてゴルフやりに行くとか、マージャン大会やるとかね。みなさんそっちの方で、うっぷん晴らしというか、そういうことなさるようですけど、かえって疲れますし、品のない遊びなんかをしますと、舞台にそれが漂うんですよね。
ですから、むかしむかし、ある役者さんが、椿姫をやった時の相手役なんですけどね。純情な世間知らずの貴公子の役なんですよね、その男の人が。それがいかにも物見疲れをしたっていう、昨夜女を抱いたっていうそんな雰囲気が漂っている、眼が濁ってましてね。それでわたくしは引っ込んだとたんにめちゃくちゃに怒りましたよ。そしたらその通りだったんですけどね。
美輪さんの日常生活
だから本当に恐ろしいですから。わたしは本当に修道女みたいな生活で、それでホテルと劇場と行ったり来たりするだけ。で、ご飯食べにも行きませんし、あとは弁当だけね。そして買い物にも行きませんし、ましてカラオケ行ったりね。自分が仕事で歌ってるのに、なんでカラオケなんて行かなきゃいけないの。
ですから本当になんの楽しみも何もないですよ。うん、行ったり来たりするだけ。舞台のためにエネルギーをためておくんですよ。それがかえって規則正しい生活して、よく寝て、で、よく仕事をしてっていうことで、だからもってるんだと思うんですね。
だからわたくしはそれはずっとこれからも続けていきたいと思っています。
TBSラジオ『薔薇色の日曜日』2016年8月28日放送分より